日本作業行動学会へようこそ 日本作業行動学会 前会長 山田 孝 (目白大学大学院リハビリテーション学研究科教授) |
この度、本学会では、かねてからの課題でありましたウェブサイトを開設することになりました。このウェブサイトの開設によって、本学会の活動を作業療法士の方々をはじめ、多くの方々に知っていただけることになると喜んでおります。
この機会を利用して、作業行動についてご紹介したいと思います。
「作業行動」とは何か
アメリカの作業療法士であるMary Reilly博士(元・南カリフォルニア大学大学院主任教授)は、「地域社会は、日常生活をどのように形成すべきか、というモデルを、われわれに提供してくれる。それは睡眠、個人的身辺処理、家事、仕事、レクリエーション、そしてレジャーのための時間と分類されるものから成る」と述べていますが、これが作業行動の骨格を示していると思います。さらに、作業行動というモデルを説明する中で、「バランスの取れた日常生活のパターンの中での生活技能の練習を強調し、個人の興味と能力を取り入れ、年齢、性、作業的役割に関する日常的出来事を作り上げ、日常生活空間の各側面の適切な目標に関する知識によって導かれるというプログラム内容を必要とする」とも述べています。
ここから、人間の作業とは、家事や仕事の仕事的活動、身辺処理活動、レクリエーションやレジャーなどの遊び的活動から成るものと定義され、作業療法はこうした日常生活のパターンを維持することを目ざすものであるとされました。作業行動は、「この遊びと仕事のまったくの発達的連続性」を示すものとして命名されました。今日、作業療法でいう作業とは、仕事、遊び、日常生活活動の3種類から成るとされていますが、その原形はこのようなReillyの提案によるものと考えることができます。こうした作業的な生活ができない状態を「作業機能障害」と呼び、それが作業療法の取り組むべき問題であるとされたわけです。
本学会の目的
本学会は、作業療法が取り組むべき仕事的な活動、遊びやレジャーの活動、日常生活活動を明らかにすること、クライアントの作業機能障害を改善するために作業療法が取り組むべきこと、そのための評価法とアプローチの方法の開発を目指しています。また、既にアメリカの作業療法士Gary
Kielhofnerらによって開発された、作業行動の臨床実践のモデルである人間作業モデルを日本に紹介することにも取り組んでいます。
具体的には、作業行動と人間作業モデルに関する講習会の開催、作業行動と人間作業モデルに基づく事例検討会の開催、会員の研究成果の発表や関連する事柄に関する講演などを中心とした学術集会の開催、機関誌の発行などとなります。
この機会に、学会に入会して、作業療法の本質である作業行動を一緒に学んでみませんか。ウェブサイトは徐々に充実していくでしょうから、時々は開いてながめて見て下さい。
様々な集会への皆様のご参加をお待ちしております。
2005年春